ベビーカーを選ぶ際にタイヤ廻りまで目を配る方はそれほど多くはないでしょう。
実はベビーカーにとってタイヤは最も重要なパーツといっても過言ではありません。
タイヤの違いによってもたらされる性能の違いや特性などをあらゆる角度から検証していきます。
目次
見た目ではほとんど区別がつかないタイヤの違い
2020年2月現在、ベビーカーで一番人気のあるモデル群は「A型両対面」タイプ。
ベビー用品量販店や街中で見かけるほとんどのベビーカーがこの形態です。
画像:コンビ スゴカルα
上画像は現在最も人気のあるA型両対面タイプのベビーカーばかりです。一見するとトータル的なデザインは認識するものの、タイヤの違いなどまでは気にすることはなく見過ごしてしまいがち。
ベビーカーの性能を左右する最も重要なパーツなのがタイヤだということをほとんどの方が気が付いていないのが実際のところです。
タイヤの違いが明確なあの人気モデルで解説
ベビーカーにはさまざまな形態がありますが、誰もがご存知のあの人気モデルを例に解説していきます。
エアバギーココのタイヤはなぜあれほど大きいのか?
エアバギーココは誰もがご存知の超人気ベビーカー。
ファッショナブルなアーバンストローラーといった風貌でお洒落なママさんたちの注目の的。従来のA型ベビーカーとは明らかに異なる外観から単なるファッションベビーカーだと認識している人もいますがこれは完全に間違いです。
エアバギーココの核となるのが大型の3輪タイヤ。
上でご紹介した一般的なA型ベビーカーとは明らかに異なる超大型タイヤを装着していることは誰が見ても明らかでしょう。
ではなぜエアバギーココはこれほどまでに大きなタイヤを採用しているのでしょうか?
それは高い走行性能を第一に考えているからです。
大型3輪エアタイヤがもたらすクイックなハンドリング、少々の悪路にも柔軟に対応する走破性は幾多にも存在するベビーカーの中でもトップクラス。
それに伴って赤ちゃんの乗り心地も格別なものがあります。
大型タイヤのメリットを最大限に生かしているのがエアバギーココの特徴です。
大型タイヤのメリット・デメリット
エアバギーココの例を見て分かるようにベビーカーに装着された大型タイヤには大いにメリットが存在します。
しかしながら、その裏にある部分も理解しなければなりません。ここでは大型タイヤのメリットと同時にデメリットともとれる箇所をピックアップしていきます。
・安定した走行性
・高い走破性
・段差や悪路に強い
・乗り心地が向上
タイヤが大型化すれば走行性能は確実に向上します。
路面状況を気にすることなく走行でき、しかも高い安定性が確保できることから押し手のママさんは走行時、あまり気を遣うことはないでしょう。
それと同時に赤ちゃんの快適な乗り心地も実現します。
しっかりとしたタイヤであれば路面からノイズが伝わりにくくなり、スムーズな走行が可能となることから、赤ちゃんもゴキゲンに過ごすことができるでしょう。
大型タイヤを装着しているモデルのほとんどが、高級モデルや上位モデルが中心。
ベビーカーの性能をトータルで考えるならばタイヤの大型化はある程度必要となってきます。
・タイヤの重量が本体重量に直結(重たくなる)
・折りたたみ時はコンパクトになりにくい
タイヤの大型化はベビーカー本体の重量増を覚悟しなければなりません。
大きなタイヤを装備している高級モデルのほとんどがそれなりの重量があるのはタイヤの大型化だけが理由ではありませんが、その傾向は強いのは確かです。
最近では軽量でコンパクトなベビーカーがもてはやされていますが、軽量モデルのほとんどが小型のタイヤを採用しているのはそのためです。
小型タイヤのメリット・デメリット
現在主流で一番人気となっているA型両対面ベビーカーには小型のタイヤが採用されていることが多く、メリットがあるのはなんとなく想像できます。
しかしながら小型タイヤにも大型タイヤ同様、メリットがあると同時にデメリットも存在します。
ではタイヤの小型化はどのようなメリット・デメリットが存在するのかを見ていきましょう。
・タイヤ重量がない分、ベビーカー自体が軽量に収まる
・折りたたみ時はコンパクトに
ここ数年、ベビーカーに求められている上位の要望として挙げられるのが「軽量・コンパクト」なこと。
日本のタイトな空間で利用するためには環境に見合った使いやすさを追求するのはある程度うなずけます。
タイヤの小型化はベビーカーの軽量化・小型化をするには都合がよいため、積極的に行われています。
現在売れ筋のベビーカーのほとんどが比較的小さなタイヤを装備しているのです。
人気の高い最近のA型両対面ベビーカーはさまざまな機能が盛り込まれており、重量過多は必至ともいえますが、タイヤの小型化をはじめメーカーさんの技術力により軽量に収められているのです。
トータルでの使いやすさを考えるとタイヤの小型化は理にかなっているといえるでしょう。
・少々の段差や悪路に柔軟に対応できない
・路面から伝わる振動が大きく、押し感や乗り心地が劣る
小型のタイヤはベビーカーを軽量・コンパクトに仕上げられる反面、高い走行性能や高次元の乗り心地は期待できません。
ベビーカーを「軽量・コンパクト化」するためにはどこかを削っていかなければならず、減量の対象として真っ先に挙げられるのがタイヤ廻りなのです。
タイヤ径が小さいと歩道の段差に引っかかりやすかったり、路面のノイズを拾いやすかったりと押し手としてのデメリットばかりではなく、赤ちゃんの乗り心地の低下も避けられません。
メーカー側もサスペンションの搭載など、毎年革新的な装備を搭載してきているものの、トータル性能を見ると、大型のタイヤには敵わないのは仕方のないところです。
A型両対面ベビーカーのタイヤ比較
A型両対面ベビーカーの場合、どれも見た目が似通っており初めてベビーカーに触れる方にとっては違いを見極めるのは困難ですが、大きく3つのカテゴリーに分けることができます。
メーカーによって呼び方はまちまちですが、ここでは「高級モデル」「オート4輪搭載ミッドレンジモデル」「軽量スタンダードモデル」とします。
分かりやすく言えば「大中小」と表現できるかと思います。これらベビーカーではタイヤのサイズが微妙に異なってきます。
2019年6月現在で販売されている人気A型両対面ベビーカーをピックアップしてタイヤの大きさの違いを見ていきましょう。
主なA型両対面ベビーカーのタイヤサイズ比較
高級モデル
ピジョン フィーノ
タイヤ径:18cm(前後とも)
重量:6.8kg
コンビ アット
タイヤ径:(前)18cm
重量:6.8kg
コンビ アンブレッタ
タイヤ径:18cm(前後とも)
重量:6.7kg
アップリカ オプティアAC
タイヤ径:15.5cm(前後とも)
重量:6.8kg
オート4輪搭載ミッドレンジモデル
ピジョン ランフィRA9
タイヤ径:(前)16.5cm(後)18cm
重量:5.3kg
コンビ スゴカルα
タイヤ径:14cm(前後とも)
重量:5.1kg
アップリカ ラクーナ クッション
タイヤ径:14cm(前後とも)
重量:5.6kg
アップリカ ラクーナエアー
タイヤ径:14cm(前後とも)
重量:4.6kg
軽量スタンダードモデル
グレコ シティスター
タイヤ径:12.5cm(前後とも)
重量:4.2kg
グレコ シティゴー
タイヤ径:11.5cm(前後とも)
重量:3.9kg
タイヤサイズはベビーカー重量にほぼ比例する
ご覧の通り、ベビーカーの重量にほぼ比例してタイヤサイズが変化していることにお気づきかと思います。
ベビーカーは軽さありきの風潮にありますが、利便性の高い機能を盛り込んでいくと重量が増していくのは必然。
高額ベビーカーほどトータルの性能が高い傾向にあり、重いことは決してマイナスとはいえないのです。
材質の違いにも注目
ベビーカーのタイヤは材質の違いによって走行性能が大きく変わってきます。
エアバギーココやアップリカ スムーヴに代表される押し心地や乗り心地を重視したモデルはソフトなゴムタイヤを採用しております。
対して持ち運びや取り回しを重視するコンパクトタイプのA型両対面モデルはプラスチック系のタイヤを採用しています。
ゴムタイヤは高い走行性を実現するメリットがありますが、重量増は避けられません。
対してプラスチック系のタイヤは走行性は劣るものの、軽量に仕上げられるメリットがあるのです。
どちらにもメリット、デメリットは存在します。
あなたは性能を重視しますか?それとも軽さを重視しますか?
四輪タイヤと三輪タイヤのメリット・デメリット
ベビーカーには3輪タイプと4輪タイプが存在します。
双方ともにどんな特徴があるのかを見ていきましょう。
4輪タイヤ
ベビーカーで最もポピュラーなのが4輪タイプ。
抜群の安定性が確保できるため、多くのモデルに採用されています。
軽量のモデルでも安定した走行性が可能となります。
3輪タイヤ
3輪タイプはファッション要素ばかりが注目されていますが、理にかなった高い性能を発揮することは多くの方がご存知ではありません。
前輪が一つしかないため、ハンドルを軽く動かすだけでクイックな方向変換が可能となります。また、タイヤ本数が少ないことでロードノイズを拾いにくくなるメリットもあるのです。
安定性を心配される方もいますが、しっかりとしたフレーム形状とそれなりの車重を持っていることから高い安定性を確保しているモデルがほとんど。
押しやすさは4輪と比べるまでもありません。
ダブルタイヤとシングルタイヤ
4輪タイプのベビーカーには2種類あります。
一輪ごとに2つのタイヤを装備している「ダブルタイヤ」タイプと、各一輪しかない「シングルタイヤ」タイプです。
ダブルタイヤはA型両対面ベビーカーでは最も採用されている形態。
安定性が高いのが特徴です。
対して各車輪ともに一つしかないシングルタイヤタイプもあるのです。
シングルタイヤは路面との接地が少ない分、クイックなハンドリングが可能で、しかもロードノイズを拾いにくいメリットがあります。
シングルタイヤの特徴を最大限に引き出した「ピジョン ランフィシリーズ」は大ヒット商品となりました。
画像:ピジョン ランフィRA8
シングルタイヤを採用しているモデルはまだまだ少なく、前途のランフィをはじめ、同ピジョンのフィーノ、コンビの最新モデル「アット」のエントリーモデルぐらいしかありません。
このような住環境下にある方はタイヤ形状を考慮に入れて選定すべし
日本では軽量でコンパクトなベビーカーが圧倒的に売れる傾向にありますが、このタイプは小型のタイヤを採用しているモデルがほとんど。
使いやすさや取り回しを最優先に機種選定をされる方がほとんどですが、以下の内容に合致する方は大型タイヤのモデルも候補として入れてみてください。
荒れた路面が多い
日本全国どこへ行っても路面が整備されていないところはまずありませんが、舗装が完全ではなかったり、路面のアスファルトが粗かったりすると小型タイヤを装備したベビーカーはとても使いづらくなります。
小型のタイヤは小さい段差でもすぐに引っかかてしまい、そのまま前のめりに転んでしまうこともあるのです。
路面を気にしながらの走行であれば問題ありませんが、それも非常に面倒ですよね。
このような環境下にある方はある程度大型のタイヤを装着したモデルをお勧めいたします。大型タイヤを採用しているモデルはそれなりにフレームがしっかりしているため、走行時の安定性はとても高く、荒れた路面でも安心して使えます。
坂道が多い
私の住む地域では坂道が多いのですが、そのため利用されているベビーカーには特徴があります。
大型3輪タイヤを装備したエアバギーココやアップリカ スムーヴの利用者が特に多いのです。両ベビーカーともに大型のゴムタイヤを装備しており、スムーズで滑らかな走行性が特徴。
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どっしりとしたフォルムでそれなりに車重はありますが、大型でソフトな3輪タイヤは坂道では非常に押しやすく、ストレスを感じません。
大型のゴムタイヤを装備したベビーカーが坂道に強いことはあまり知られていません。
もしこの環境下にある方は是非、エアバギーやスムーヴも候補に入れてみてください。
大量の荷物を運ぶ方
ハンドル部分にフックをつけてお買い物時の荷物を複数ぶら下げている方をよく目にしませんか?
このような方法は大変危険なため推奨はしませんが、荷物を運ぶ際に「仕方がなく」というケースも出てきます。
その際、小型のタイヤを装備した軽量ベビーカーの場合、安定性が確保できず後方にお子様ごとひっくり返ることもかなりあるのです。
お買い物の荷物をベビーカーを使って運ぶことを想定している方はある程度しっかりとしたタイヤを持ったモデルを強くお勧めいたします。
大型タイヤを装備したモデルは下かごが比較的大きいモデルが多いうえ、ハンドル部分に荷物を引っかける場合でもフレームをはじめ本体がしっかりとしているモデルが多く、少々の荷物でも安定した走行が可能となるからです。
さいごに
ここではタイヤに焦点を当ててベビーカーを見てきました。
ベビーカー選びのスタンダードな方法は価格やブランド、車格などが中心となりますが、タイヤの違いから見てみると最適なモデルが見つかる糸口となるかもしれません。
異質な切り口となりましたが、タイヤが重要なパーツということはご理解いただけたのではと思います。
あなたにとって理想的な一台が見つかりますように・・・