ライフスタイルによってベビーカーの機種選定は大きく変わってきます。
重要な項目として挙げられるのが移動手段でのモデル選び。メインは自家用車を使うのか、公共交通機関を使うのかをまずはご自身で見極めることがとても大切です。
車をメインに利用するならば「大型でもOK」、電車・バスの利用が多いならば「軽量モデルを」というのはなんとなく理解していると思いますが、いざ利用してみると購入時には考えもしなかった盲点がいくつも出てくることがあります。
ここでは移動手段別に見たベビーカー選定における隠れた問題点をピックアップし対策も書き添えていきます。
車移動が多い方
車移動がメインの場合、サイズや重さをそれほど気にする必要はないので、ベビーカー選びには大きな選択の幅が出てきます。
ただし注意しなければならない箇所もいくつかございます。
コンパクトカーは要注意
「自動車ならば全く問題なくベビーカーを積めるだろう!」
と漠然と考えていると痛い目に遭うかもしれません。
自動車のサイズによってはベビーカーがまともに積めない可能性だってあるのです。大型車であればまず問題はありませんが、コンパクトカーや軽自動車の場合は細心の注意が必要です。
まずは以下の画像をご覧ください。
私の愛車、小型車の日産キューブのトランクに日本ブランドの大型ベビーカーを折り畳んだ状態で載せてみました。全く問題がないように感じますか?
こちらは上画像モデルよりも一回り小さい中型タイプのベビーカー。
奥行が薄い分、若干のスペースが生まれますが前途2枚の画像をご覧の通り、満足な空きスペースは確保できたというレベルではありません。
ベビーカーを利用するということはクルマにはチャイルドシートも装着されているはずです。チャイルドシート装着時は大きさと操作をしやすいスペース確保のため、後部座席を後方までスライドさせて設置しているケースが多く、そのためトランクルームはより狭くなってしまいます。
ちなみにベビーカーを乗せたこの状態での後部座席には回転式の大型チャイルドシートを載せてみました。
トランクスペースを有効に活用するためには
前途の画像をご覧いただいてわかるようにコンパクト車で利用の際はベビーカーをトランクに収納するとそれ以外の荷物が満足に積めなくなるのを想定しておかなければなりません。トランクスペースを有効活用するためにはある程度小さなベビーカーを選択しなければならないこともあるのです。
そこで省スペースでも積みやすい特徴を持ったベビーカーをご紹介いたします。
ハンドル角度調整機能がついた便利なモデル
上画像でもご覧いただいた大型のベビーカーはコンビのディアクラッセというモデル。現在は販売されていませんが、現行モデルのコンビ アンブレッタ 4キャスと車格はほぼ一緒。
このモデルの特徴はハンドル角度調整機能がついていること。
ハンドル持ち手部分が折り曲がるため、折りたたみ時の全高が低く抑えられます。長さがない分、トランクスペースに若干の余裕ができます。
さきほどトランクの収納で比較した2モデルを並べてみたところ。
左はアップリカのラクーナというモデル。現行モデルでいえばラクーナADとほぼ一緒。ディアクラッセ(右)よりも一回り小さいミッドレンジモデルですが、車格が上のディアクラッセのほうが高さがないことが分かります。
ハンドル角度調整機能はベビーカーをコンパクトにさせるだけではなく、走行時は自分に合った適切なハンドル高を調整できる貴重なアイテムでもあるのです。
ハンドル調整機能がついたモデルは数は少ないもののそれなりに選べるぐらいはあります。少しでもコンパクトになるベビーカーをお望みであれば探してみる価値はあります。
特殊な折りたたみ構造で想像以上に小さくなるモデルも!?
近年、折りたたみ時に通常ベビーカーの二分の一程度のサイズまで折りたためるモデルが脚光を浴びています。
画像:ピジョンパタン(楽天)
コンパクトカーのトランクに収納してもこの通り。
画像:ピジョンパタン(楽天)
ともに新生児期から使えるA型タイプです。
利用者さんの中には自動車専用のベビーカーとして積みっぱなしの方もいました。ライフスタイルに合えばとても利便性の高いベビーカーです。
カタログにあるサイズ表記は要チェック
小型車で利用する場合はベビーカーの折りたたみ時サイズとトランクルームのサイズは必ず確認してください。
大きくてまともにトランクに積めない場合はサイズを確認の上、助手席に積む、後部座席を倒して積むなどしっかりとしたシュミレーションも必要です。
公共交通機関の利用が多い方
電車やバスなど公共交通機関の利用頻度が多い方は軽量・コンパクトなモデルを好むのは当然とも言えます。ママと赤ちゃん2人きりのお出かけであればベビーカーは場面によっては過度の負担になる可能性が大きいからです。
電車・バス利用時の使いやすいベビーカーの特徴と機種選定の際の注意点を列記していきます。
片手でワンタッチ開閉が可能なモデルがおすすめ
画像:アップリカ ラクーナクッション
最近の日本ブランドのベビーカーはどれも折りたたみ性能に長け、片手で、しかもワンタッチで開閉できるモデルがほとんどです。
赤ちゃんとママの2人きりでのお出かけでは片手で赤ちゃんを抱っこしながら、もう片方の手でベビーカーの開閉をしなければならないシーンに多く遭遇します。
そのため、徒歩での外出が多い方は折りたたみ性能に特化したモデルを特にオスメスいたします。
日本ブランドのベビーカーのほとんどは片手での開閉が比較的容易ですが、インポートモデルの場合は簡単とは言えない複雑な構造のモデルもありますので要注意です。
改札口の広さはベビーカー選びの一つの基準となる
徒歩での外出が多い方にとって自動改札の通常口が通過できるかどうかは機種選定の一つの基準になってきます。
日本の改札口で一番狭い寸法は横幅55cm。ここを通過できないベビーカーも結構あるのです。
横幅がありすぎて通過できなかったとしても端にある広い通用口を通ればいいのでは?と思われるかもしれませんが問題は通過の可不可だけではありません。
日本ブランドのベビーカーのほとんどがこの55cm幅の改札を無理なく通れるサイズになっています。ベビーカーを設計する段階でまずは改札サイズありきで作られているという話もあるほどです。
横幅45cm〜52cmぐらいが一般的なサイズになってきますが、この横幅を基準に全長を決めると日本国内で利用するには最適なサイズになると言われています。
確かにこの横幅を超えるモデルを手にするとかなり大柄に感じ、タイトな街中での利用に不便さを感じる場面に多く遭遇します。
インポートブランドの中にはこの横幅を超えるモデルも多数ありますので注意が必要です。
軽い=持ち運びやすいわけではない
ほとんどの駅にはエレベーターが設置されているためベビーカーを折りたたんだ状態で利用することはほぼないでしょう。
ただし、エレベーターがない、何らかの事情で使えないシチュエーションに出くわした時には階段を上り下りすることも覚悟しなければなりません。
ベビーカーを持っての階段の登り降りシーンを思い浮かべてみてください。
あなたは大変そうと感じましたか?それとも造作もないことと思いましたか?
片手で簡単に折りたたみができて、しかも軽量だから問題はなさそうだと想像された方が多いのではないかと思います。
しかしながら事は単純ではなさそうです。
持ち運び方法を見て見よう
一般的なベビーカーを折りたたんだ状態で階段を上がるときには5つの方法があります。
1.ハンドルを持って持ち上げる方法
これが一番スタンダードな持ち運び方法です。この運び方の問題点は握力と腕力が必要なこと、背の低い方は高く上げなければ地面に接触するため、かなりの力を要します。
2.ヒジにかける方法
これもよく見かける方法ですね。女性の方が一番楽な運び方なのかもしれません。それでも片手で赤ちゃんを抱っこしているとするとかなり無理な体勢であると言えます。
3.肩にかける方法
とても楽そうに見えますがどのベビーカーも肩にかけて持ち運ぶ仕様には設計されていないため、パーツの出っ張りやシートの張り出しなどにより、見た目よりも負担のかかる持ち方です。軽快に運搬するには程遠い状況になります。
4.フロントアームを持って運ぶ方法
地面にタイヤが接触せず、楽に運んでいると感じたかもしれません。しかしながら、ハンドル部分は相当の長さがあるため、ある程度背丈のある方でも突っ張った感じになります。背の低い方だと全く持つことすらできない場合もあります。
5.横向きにしてフレームを持つ方法
軽量モデルならこの持ち方が一番楽かもしれません。ただし、持つ場所を間違えると指が挟まる場合がありますのでおすすめはできません。
機種によってはフレーム中央あたりに持ち手ハンドルが付いているモデルもありますが、そのほとんどがB型スペックのアンブレラストローラーばかりです。
約10年前の日本ブランドベビーカーのほとんどに運搬用のストラップが付属されていましたが今では全く見かけなくなったのが不思議です。
運搬しやすい工夫があるベビーカー
ベビーカーはたとえ軽量だったとしても決して持ち運びやすくはないという論調の解説をしてきました。ネガティブな内容に終始しましたが、ある程度想定しておけばその場面に遭遇しても慌てることはないだろうという考えのもと、書き連ねた次第です。
そんな中、持ち運び時に少しでも楽ができる機能を有したA型モデルもありますのでご紹介いたします。
絶妙な位置に配置された持ち手ハンドルはありそうでなかった革新的機能
コンビのベビーカーのほとんどで採用されている革新的機能。
ほどよい位置にあるグリップを掴んで抱え込むような楽な姿勢で持ち運びができます。
コンパクトなキャリング型はアクティブな徒歩派には便利
キャリングバッグのように肩から掛けて運搬すると体感重量は変わってきます。持ち運びやすさという点ではキャリング型が一番楽かもしれません。
こちらも似たようなコンセプトのアップリカの商品。赤ちゃんをだっこした状態でも無理なく持ち運び移動が可能です。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
移動手段によってベビーカーの機種選定は異なりますが、細かく見ていくと問題点は色々とあるという事例をご覧いただきました。
ある程度シュミレーションをしておけば場面に遭遇したときに慌てることはないでしょう。
このあたりはネット上にある先輩ママの生の体験を綴ったブログ記事を見るととても勉強になります。
快適て楽しい子育ての一助になれば幸いです。