コンビから2019年2月上旬に新型ベビーカーが発売になりました。
アットは従来型現行モデルの流用ではなく全く新しい設計のベビーカーです。
外観は今までのベビーカーに酷似しているものの、一味違ったコンセプトが特徴で新鮮味のあるモデルに仕上がっています。
発売前の1月下旬に実機を見てきましたので詳細をレビューしたいと思います。
実際のユーザーさんが利用した際の感想や評価、口コミ情報は別ページにてまとめてあります。
こちらも併せてご覧ください。
目次
【コンビ新型ベビーカー】アットAttOのレビュー、特徴やメリット・デメリットなど
画像:AttO アット type-L(NetBabyWorld楽天)
まずはどのようなベビーカーなのかを知るうえで発売元であるコンビさんのコメントを見てみましょう。メーカー発表のプレスリリースをご覧いただきます。
コンビ株式会社は、おでかけの様々なシーンで、折りたたみ、段差の乗り越えなどが「すぐにできる」を叶えたショートカットベビーカー「AttO」を2019年2月上旬より、全国のベビー用品専門店、玩具専門店、百貨店などで販売致します。
近年プレママや産後ママに当たる年齢の女性の就業率は年々高まっており、適齢期の女性の6割近くが出産直前まで働いている現状があります(※1)。共働きの増加により、育児にかかる負担を軽減したい、時短したいなど、育児グッズに求められるニーズが変化してきています。
本製品は、コンビベビーカー史上最高の61cmハイシートを実現し、地面の熱やホコリから遠ざけながら、赤ちゃんの乗せおろしもアッという間にでき、さまざまなアクションをショートカットできるこれまでにない新構造のベビーカーです。また、18cm大型フロントタイヤと、ベビーカーを押す力をダイレクトに伝えることができる「クイックアクションフレーム」により、段差も簡単に乗り越えられる押しやすさも実現しました。さらに、従来のハンドル切り替え式のベビーカーとは異なり、対面・背面の状態どちらでも簡単に折りたたみができるように進化しました。2月下旬以降には、豊富なアクセサリーも順次発売し、ますますできることが広がっていきます。コンビは「赤ちゃんを育てることが楽しく幸せだと思える社会をつくる」ことを目指して、今後も開発を行ってまいります。【製品特徴】
1.やりたいことが、すぐにできる。
61cmのハイシートにより、地熱、ホコリを遠ざけて、赤ちゃんとの距離をグッと間近に。
2.行きたい場所に、すぐ行ける。
18cmの大型フロントタイヤとクイックアクションフレームにより、段差や狭い道でもスイスイ押せる。
3.楽しみたいとき、すぐ楽しめる。
豊富な専用アクセサリーにより、できる楽しみがますます広がります。
メーカー発表の要点まとめ
新型ベビーカー、アットで注目すべき特徴をメーカー発表内容から抜き取ってみます。
1.コンビベビーカー史上最高の61cmハイシート
2.18cm大型フロントタイヤ
3.「クイックアクションフレーム」を採用
主要スペック
これだけではよく分からないので押さえておくべき主要スペックも列記しておきます。
アットには3つのグレードがありますが、売れ筋と思われる中間モデル「type-s」のデータを記載していきます。
種別:A型両対面
対象月齢:1カ月~36カ月頃(体重15kg以下)
重量:6.6kg(フル装備重量:6.7kg)※本体重量はダッコシートαを除く
リクライニング角度:110°~160°
サイズ:開:W510×D850~890×H1100mm 閉:W510×D450~700×H780~960mm
スペックを見る限り、大型のモデルであることが分かります。現在流行の「軽量+オート4輪搭載モデル」(コンビ スゴカルα 4キャス 、アップリカ ラクーナクッション、ピジョン ランフィRA8)よりもワンランク上の車格です。A型両対面モデルではすでにコンビの主力人気モデルとなっている「アンブレッタ 4キャス」と数値的には拮抗しておりますが、全くの別モデルということで後継機種ではなく併売されるとのこと。
画像:コンビ アンブレッタ4キャス
他メーカーの競合モデルとして挙げられるのは「アップリカ オプティア」、「ピジョン フィーノ」などではないでしょうか。
画像:アップリカ オプティアAC
画像:ピジョン フィーノ
新型ベビーカーアットはコンビさんが「次世代最新モデル」と言っているだけにスペックが似通った「アンブレッタ」や他競合モデルとも異なる仕様となっているはずです。
それでは順番に注目すべき箇所を見ていきましょう。
コンビ アットの注目箇所
61cmのハイシート
アット驚くほどの超ハイシート仕様。実機を見ると座面の高さに圧倒されるかと思います。
現行A型両対面仕様のベビーカーではコンビ アンブレッタの58cmが最も高い数値でした。それをさらに上回る61cmは驚異的!
ハイシートは地面付近に漂うホコリや花粉、そして真夏のアスファルトの照り返しによる高温から遠ざけてくれることなどの利点はご存知のことと思います。
それ以外にも超ハイシート仕様にはさまざまな利点が生まれます。
ママと赤ちゃんのコミュニケーションも円滑に
赤ちゃんとママの距離がグンと近くなってコミュニケーションも円滑にとれる環境が整いました。ママが屈まなくてもフェーストゥフェースのスキンシップが取れるのでさらなる有益なひと時を送ることができるでしょう。
乗せおろしがラクチン
座面が高いため、ママがかがむことなく赤ちゃんの乗せおろしがラクになりました。画像のようにフロントバーは簡単に外れるのでママの利便性は格段に向上しています。
食事のテーブルにそのままつける
アットをテーブルに近づければちょうどよい高さのイスとして機能します。パパ、ママがお世話をするにはベストなポジションに!
外出時はベビーチェア(ハイチェア)を使うことなくそのまま利用できる利便性は他ベビーカーにはない特徴です。
また、着座時のリクライニング角度が110°と鋭角なため、赤ちゃんにも負担がかからずハイチェアとしてしっかりと活躍してくれます。
荷物の出し入れが容易
アットはフロントからの荷物の出し入れを想定して作られています。
赤ちゃんをお世話しながら荷物の出し入れができるのでとても便利。従来型ベビーカーの下かごといえばお飾り程度で決して使いやすいとは言えませんでしたが、大型で間口の広いしっかりとしたつくりのアットの下カゴは十分に機能してくれることでしょう。
ハイシートのデメリット!?
ハイシートは数年前より流行し始め、現在では当たり前のようにどのベビーカーにも搭載されるようになりました。
ハイシートとは地上高50cm以上のモデルを指します。
地上高が高くなれば前途でご説明してきたようなメリットばかりがあるように感じますが、一部ではそれを否定的に捉える意見もネット上では見受けられます。
座面が高くなれば腰高になり安定性を欠くのでは・・・
という意見です。
確かに一理ある意見ではありますが、アットにはその理屈は当てはまらないと感じます。
なぜならば、アットは大型に部類するモデルのためホイールベースをはじめ全体的なサイズがあるため、安定した走行性が確保できているからです。
高級な大型モデルであるからこそできる最強ハイシート。安心して利用してください。
18cmの大型フロントタイヤとクイックアクションフレーム
18cm大型フロントタイヤと、ベビーカーを押す力をダイレクトに伝えることができる「クイックアクションフレーム」により、少々の段差にも柔軟に対応し、しかも押しやすさも実現しています。
実際に実機に触れてみるとわかりますが、フレームは横ブレもなくガッチリとした剛性感が伝わってきます。
フロントに搭載された18cm径サイズのタイヤはクラス最大。
大型タイヤは街中で頻繁に遭遇する歩道の段差や少々のデコボコ道にも柔軟に対応してくれる優れもの。
安定性も高く静寂性にも優れているため、押しているママさんはスムーズで滑らかな押し心地を、赤ちゃんは路面のざらつきからくる振動も少ないため双方に大きなメリットがあります。
クイックな方向変換が可能
剛性感のあるフレーム形状、大型でしっかりとした足回りと併せてワンハンドグリップハンドルのため、片手でも軽快でクイックなハンドリングを実現。ストレスのない押し感は上位モデルならではのパフォーマンスを発揮します。
アットの軽快な押し心地をサポートする大きな要素にハンドル形状が挙げられます。
従来のベビーカーは一本棒のようなハンドルになっていますが、アットは握りやすい独自の斜め形状を採用しており、力が加わりやすく自然な押し感でスムーズに取り廻すことができます。
ハンドルアジャスターを装備
ハンドルアジャスターとはハンドルの角度を変化させることで背丈の異なる方が利用しても最適なポジションでベビーカーを押すことができる画期的機能。
どのメーカーの最上位モデルにしか搭載されていない特別な装備です。
上の画像はハンドルが真っすぐになったスタンダードなポジション。
身長174cmの私が押すには少し高いような気がしました。雰囲気的には180オーバーの方でも無理なく押せるポジションのように感じます。
上画像はハンドルを少々折り曲げた時のスタイル。160cm前後の女性であればこのあたりのポジションが最適ではないかと感じました。
ハンドル位置が押し手の背丈と合致していないと押しにくいだけではなく、姿勢が悪くなるためビジュアル的にもよろしくありません。
ハンドルの高さは好みがあるため一概にどのポジションが良いのかは人それぞれ。実際に調整してあなたにとって最適なポジションを探してみてください。
充実したオプション類
ステータス性の高いインポートブランドベビーカーには複数のオプションが用意されていますが、同じように遊び心が満載のオプション類が充実しているのはアットの特徴。
私だったらカーゴポケットとドリンクホルダーはチョイスしておきたいアイテムです。
アットにはアノ機能がついていない!?
ベビーカーを真剣に吟味されている方であればすでにお気づきかと思いますが、アットには従来型のA型両対面ベビーカーでは当たり前となっているあの2つの機能が搭載されていません。
これらはデメリットとなるのでしょうか?
最後までご覧いただければその意味がご理解いただけます。
両対面機能はワンタッチではない
従来のA型両対面ベビーカーでは上画像のようにハンドルレバーを前後に移動させることにより背面から対面への切り替えを行ってきました。
対してアットの場合、シート部分をそっくり取り外して前後に付け替える作業が発生します。
これって、機能的に退化しているのでは?と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
従来型のようにハンドルレバーをワンタッチ操作で前後に切り替えるためには駆動箇所が多く、フレームに付加がかかる箇所が増えてしまいます。また、背面・対面切り替え時、進行方向に向かって前後が逆になるため、違う力がかかるのもフレーム構造的には付加がかかる原因ともなります。
アットは進行方向が一緒
アットはイスを外して向きを変える方式をとっているので進行方向は常に一緒。
余計な駆動部分もなく、しっかりとしたフレーム剛性を確保できるのです。
座面部の付け替えが面倒なのでは!?
イスの付け替えが面倒なのでは!?と誰しも疑問を持たれるかと思います。
まず付け替え方法ですが、イスの下にある左右の解除ボタンを押せばすぐに外れます。確かに従来型と比べると面倒な作業かもしれませんが、取り付け・取り外しは困難なことはなく、スムーズに行えます。
対面・背面は頻繁に切り替えることはなし!
近年のA型ベビーカーにはほとんど搭載されている両対面機能ですが、実際のユーザーさんに聞いてみるととある傾向があるのです。
対面利用時は新生児期から約7か月まで、それ以降は背面で使う方がほとんど。
つまり一定時期は同じ方向で利用しているのです。背面・対面の切り替えは頻繁に行うことはありません。それを考えると切り替えのわずらわしさを気にするのはあまり意味のないことでしょう。
補足しておくと、従来型の両対面ベビーカーは一部を除き、対面状態では折り畳みが原則できません。ハンドル位置を背面位置に戻してから折り畳むこととなります。
対してアットの場合、対面状態でも折り畳みが可能で、しっかりと自立してくれます。
オート4輪が搭載されていない
オート4輪はA型ベビーカーの革新的機能。
現在では当たり前となっている機能ですが、アットには搭載されておりません。背面・対面でも進行方向が一緒のため、オート4輪を搭載する必要がないのです。
オート4輪は優れた機能ではありますが、ベビーカーの駆動箇所が増えてしまうこと、車輪固定時に若干の遊びがあり、がっちりと固定できないことなど、マイナス要素も少なからずあるのです。
アットはシンプルに作っているため、ベビーカーとしての最重要事項ともいえる剛性を伴った高い走行性能を発揮できるというプラス要素を兼ね備えているのです。
それでも折り畳み構造はよくできている
アットのように座面を取り外して進行方向を変えるモデルはインポートモデルではよく目にします。
このタイプのベビーカーにほぼ共通しているのが、シート部分を取り外さなければ折りたためないこと。
アットはシートがついた状態でも問題なく折り畳めるうえ、しっかりと自立してくれます。
上画像は背面時の折り畳み・自立させたところ。コンビのベビーカーらしく、片手でも簡単操作で折り畳め、安定した自立が可能です。
背面折り畳みを全面から見たところ。
サイドから見るとこんな感じ。ハンドルアジャスターを使って最大まで折り畳めばとてもコンパクトになり、玄関先の収納や自動車への積み込みにも場所を取りません。
対面時の折り畳みも可能です。ただし、背もたれが飛び出してしまうため、奥行が出てしまいます。それでも背面・対面の両方で折りたためるうえ、自立するのは相当すごいことです。
アットと同じような形状のベビーカーはインポートモデルで複数存在しますが、こんなこと・・・できません。
前後が固定されているため旋回性が向上
進行方向が同じなため前後輪のサイズを変え、走破性の高さとクイックなハンドリングが可能になるよう設計されているのが特徴。後輪が絞り込まれているのが分かるかと思います。
コンビ アットのラインアップと違い
アットは3つのグレードからお選びいただけます。
基本的な部分は一緒ですが、タイヤの形状やシートのクッション性、そしてフットマフの装備などでグレードと価格が異なります。
アット type C
サンシェードとフットカバーにアルカンターラ素材を採用したアットの最上級グレード。
シートの全面にコンビ独自の超衝撃吸収材「エッグショック」を搭載しています。
アット type S
ベース部分は上位モデルとほぼ一緒。
一番売れ筋モデルとなるであろうグレードです。
⇒ AttO(アット)type-S(yahooショッピング)
アット type L
アットのエントリーモデルながら基本機能は上位モデルとほぼ一緒。それでいて安価な価格設定は特に魅力です。
本モデルのみ前輪に「シングルタイヤ」を採用しています。路面との接地面が少なく、クイックなハンドリングが可能に。
取り回しの良さは上位モデルと比べてこちらのほうが高いのではと想像できます。
⇒ AttO アット type-L(yahooショッピング)
タイプ別比較表
どのグレードがお勧め!?
売れ筋となるのは中間グレードのtype sとなるのではと想像できます。type sは最上位モデルと基本的には一緒。フットカバーの有無ぐらいしか大きな差はなく、それでいて割安感があります。
ベビーカーやチャイルドシートなどに共通しているのは中間グレードが最も売れること。アットも同様の傾向になるものと思われます。
私が選ぶとしたら、エントリーモデルのtype Lをチョイスすると思います。
4輪シングルタイヤはコンビでは初ではないかと思います。ピジョンではランフィとフィーノで実績のあるクイックなハンドリングを実現するシングルタイヤですが、それと同等もしくはそれ以上のパフォーマンスを発揮してくれるのではと期待しています。
アットの競合モデル5選
アットの競合モデルとなるであろう5機種をご紹介いたします。国内ブランドモデルはすべて両対面変化操作はハンドル位置を変える仕様のモデルのみとなります。
コンビ アンブレッタ
アンブレッタはコンビの最上位モデル。
アットと併売されるとのことですのでコンビでは最上級モデルの2トップ体勢となり、どちらにするか迷うところです。
超大型の幌をはじめ、エレガントなフォルムやモダンなタイヤ周りが外見上の特徴。コンビの上位モデルらしく超フル装備なので赤ちゃんもママも大満足のモデルであることは間違いありません。
使いやすさでいえばアンブレッタ、走行性能でいえばアットという切り分けでよいかと思います。
アップリカ オプティア
オプティアはアップリカの最上位モデル。
余裕のあるシート幅と足回り&床下のダブルクッションによる振動軽減に注力しているのが特徴。
アップリカらしい陽気で垢ぬけたデザインも高い評価を得ています。
ピジョン フィーノ
フィーノはピジョンの最上位モデル。
ピジョンは4輪ともにシングルタイヤを採用し、高い走行性とクイックなハンドリングを実現した先駆者的存在。
18cm径の大型シングルタイヤは道路接地面が少なくロードノイズを拾いにくいうえ、クイックな操舵性はピカイチ。
高級シティクルーザーといったらしっくりとくるかもしれません。
バガブー ビー5
バガブーは世界のベビーカー界の頂点に君臨する超プレミアムブランド。バガブーの中にあって一番人気なのがここでご紹介するbee5です。
日本国内で利用するには最適なコンパクトサイズで両対面もこなす優れもの。
アットと同じようにシートを取り外し、背面・対面を切り替えます。
シートを取り外さなければ畳めないことや、単体では自立しないことなど機能面では少々目をつぶらなければならない箇所はありますが、所有欲を満たす超プレミアムベビーカーだけにそのあたりはカバーしてしまうのだと思います。
芸能人やモデルさんなどの利用者が圧倒的に多いのも特徴です。
ストッケ スクート2
スクート2はバガブーと並ぶプレミアムベビーカーの雄、ストッケの最も人気の高いモデルです。
ストッケといえばエクスプローリーが真っ先に浮かびますが、実用性や価格面を考えるとこちらのモデルのほうが一歩リードしている感はあります。
アットと同じくシート部分を取り外して背面・対面を切り替えます。シートを本体から取り外さなくても折りたたみが可能なのが特徴。
どっしりとしたフォルムに大型のゴムタイヤを装備しており、走行性や乗り心地はピカイチ。ただし横幅がありそれなりの重量があるため、公共交通機関を利用してのお出かけには不向きかも。
半分に折りたためるため、自動車をメインに移動される方であれば強力なツールになることは間違いありません。
さいごに
従来の日本ブランドA型両対面ベビーカーは日本国内で利用するには最適なコンパクトサイズにあらゆる機能を詰め込んだ優れたパッケージングで使いやすさは文句のつけようがありませんが、剛性感はイマイチと感じていたのは私だけではないと思います。
両対面によって進行方向が変わったり、ハンドル切り替えやオート4輪搭載など駆動する部分が複数あり故障の原因ともなりえる箇所が多く、フレームに対する信頼性は疑問を抱かざるを得ませんでした。
アットは設計をシンプルにしたことでフレームの剛性感が増し、安全な走行性を確保できただけではなく、結果として使いやすいベビーカーとして進化したのでした。
これからのベビーカーはこのようなスタイルへと変わっていくのかもしれませんね。