A型ベビーカーは新生児期からの利用が可能で長く使えるのが最大の特徴。
新生児期にはフルフラットに近い状態のベッド型で利用し、月齢が嵩んでくると背もたれを起こしてイス型にして使えるフレキシブルさがとても重宝されています。
このようにA型ベビーカーはリクライニング角度の調整が可能ですが、機種によって背もたれ角度に大きな違いがあることをほとんどの方があまり意識されていないようです。
リクライニング角度の違いによって使いやすさやお子様の居住性に及ぼす影響と機種別リクライニング角度についてまとめてみました。
目次
A型ベビーカーをリクライニング角度から選ぶ
ベビーカーにはA型、B型と呼ばれるタイプが存在します。
これは財団法人製品安全協会(SGマーク)が定める安全基準内の区分けでA型は腰が据わる前~最大48月、B型は腰が据わってから~最大48月と規定されています。
つまり・・・
A型 ⇒ 新生児期から利用可
B型 ⇒ 約7か月から利用可
と言われているのはここからきているのです。
リクライニング角度の規定はない!?
ベビーカーのSG基準にはさまざまな規定があるようですが、ネット上をくまなく見渡してみてもリクライニング角度に対する内容が見つかりませんでした。
唯一見つかったのがアップリカさんのサイト内にあるベビーカーの安全性等の基準について。
これを参考にさせていただくと・・・
A型 ⇒ リクライニング機能を持ち150°以上(4か月からのものは130°以上)
B型 ⇒ 100°以上(リクライニング機能はなくてもよい)
補足するとA型は最大リクライニング角度(フラット時)は150°以上になるタイプ、B型は着座時、100°以上の角度になるようにと見てとれます。
背もたれ角度の違いによる影響
リクライニング角度が及ぼす影響については、ベビーカーを初めてご利用になられる方には想像がつかないことと思います。
少数ではありますが、以下のような指摘を受けたことがあります。
「着座姿勢でのリクライニング角度が鋭角ではなく中途半端な角度のため、どっちつかずの姿勢になってしまいます。子供が落ち着いて座れる状態ではなく、おしりが滑り落ちてくるような状態ですがこれでよいのでしょうか?」
1歳近くなってくると周りの景色に興味を持ち、ある程度の座角がないと無理やり体を起こそうとするため、落ち着いて座っていられないという指摘を都度受けるのです。中途半端な着座姿勢は疲れるうえ、活発な時期のお子様は不向きなのではというのはなんとなく理解できます。
そのため、なるべく着座姿勢時には90°に近い鋭角になるベビーカーが良いのだと・・・
このような指摘は当方の顧客だけではなく、ネット上でも頻繁に見かけます。
まずは代表的な事例をご覧いただきます。
ネットに投稿されたリクライニング角度に関する質問の一部
その一
ベビーカーの背もたれの角度
11ヶ月になろうとする子供を乗せているベビーカーのことです。
直角に近いような角度まで背もたれが立たない仕様で、子供が元気なうちは前についている手すりにしがみついているのですが、疲れて背もたれにもたれると、片足を手すりに乗せて行儀悪い体制になってしまいます。
同じようなことになっているお父さん、お母さん、なにかいい対策を知りませんか??
ヤフー知恵袋:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1326518238
利用しているベビーカーの機種が書かれていないため座面角度がわかりませんが、この質問者さんの内容だと着座角度がある程度あれば解決しそうな気もします。
いずれにせよ背もたれが鋭角になるベビーカーが理想だということは伝わってきます。
その二
ベビーカーの背もたれの角度について質問です。
ランフィエフを使っているのですが生後10ヶ月の子供には背もたれが倒れすぎてて座りにくそうです。b型ベビーカーの購入も検討しましたが、角度はそれ程変わらず…意味ないのかな?と思っています。
今のところベビーカーの不満点は角度だけです。贅沢を言えばやっぱりもっと小さくて軽いものが欲しいですが…。
子供の座りやすさを考えたらベビーカーよりバギーなのでしょうか?角度がなるべく90度近くなり、軽いベビーカーはありますか?ヤフー知恵袋:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12195645432
ピジョン ランフィエフの座面調整角度は115度~165度。スペック的には決して他機種より劣ることはなく質問者さんのご指摘の通り、座面が垂直に近いB型モデルと変わらない数値となっております。
もう少し背もたれが起きてくれればという要望ですが、これ以上鋭角になるモデルはほぼありません。
この質問者さんは特別無理な不満を言っているわけではなく、このように感じている方は非常に多いのです。
その三
ベビーカーの背もたれ、リクライニングについて。
1歳4ヶ月の娘がいます。コンビのベビーカー、リッコWをを使っています。 片手で畳めて自立する所が気に入り購入しました。1歳を過ぎてからは、背もたれ(リクライニング)を一番起こした状態で使用しています。しかし、座らせると、どんどんおしりがずり落ちてきて、ひっくり返ったようになり、とても座りづらそうです。背もたれを一番起こした状態でも、かなりなだらかにカーブした座面なので、滑り落ちているようです。座面と背中にも隙間ができてきて、股で突っ張っている状態で、長く座っていることができません。バスタオルを挟んだりしてみましたが、効果はありませんでした。他のベビーカーの方たちは、みなさんしっかり座れているように見えます。
コンビのリッコWをお使いの方、同じような状態にはなりませんか?また、他のベビーカーをお使いの方はどうですか?そして、何か良い解決法はございませんでしょうか。お願いいたします。ヤフー知恵袋:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1143061736
リッコWは約10年前に販売されていたコンビの主力モデル。今でいうところのスゴカルのような存在です。
コンビ リッコWのリクライニング角度は125°~170°で現在のモデルと比べるとほぼ平均といえるでしょう。
このあたりの座角では一般的には不満はないと思われますが、利用者さんによっては物足りない面があるのかも知れません。
ユーザーのリクライニング角度による不満点のまとめ
リクライニングに対する不満はフラットベッド状態での角度に対する指摘はまずありません。機種によって最大で25°近くの差があるにもかかわらずです。
対してイス型に角度を調整した場合の指摘はネット上を検索すると多く見つかります。前途でご紹介したような内容が最も多い事例です。
これらをご覧いただいてわかるように着座姿勢での鋭角なリクライニング角度への要望はかなりあるのです。「使ってみたら分かった」といった内容なので初めてベビーカーに触れる方には分かりにくいかもしれませんがこのような意見もあるというだけでも片隅に止めておかれても良いかと思います。
ここまでA型ベビーカーの平均的なリクライニング角度を申し上げていないため、前途の質問者さんからの指摘が一般的なものなのか、特殊な事例なのかはちょっと分かりにくいかと思います。
ここからは2020年4月現在に販売されているリクライニングが可能な人気のA型ベビーカーを取り上げ、着座姿勢時の角度が鋭角なモデルから順番にご紹介していきます。
主要A型ベビーカーのリクライニング角度一覧
2020年4月現在に販売されている人気主要ベビーカーをリクライニング角度順に掲載しました。ここに掲載した数値は各メーカーさんの公式サイトから抜粋したものです。
数値に未記載のモデルは無段階リクライニング式、有段階リクライニング式は個々の数値をすべて掲載しています。
ピジョン ランフィRB0
100°~175°
ランフィRB0は上の質問者さんの指摘にあった「ランフィエフ」の4世代あとの最新現行モデルです。2世代前のランフィRA8からリクライニング角度は大幅に改善され、最大で100°まで調整が可能です。この数値は他ベビーカーと比べてもダントツトップの数値。
鋭角なリクライニング角度をご希望であればランフィRB0は特におすすめです。
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ピジョン ランフィのレビューと口コミ、評価、使用感をまとめてみました。
コンビ AttO
110°~160°
アットはコンビの最上位モデル。
今までの日本ブランドベビーカーにはないヨーロピアンテイストのベビーカーです。
アットのは3つのグレードがありますが、リクライニング角度はどれも同じです。
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アップリカ ナノスマートプラス
112°~156°
ナノスマートプラスは折り畳むと驚くほどコンパクトになる背面式のA型ベビーカー。
赤ちゃんの二人でのお出かけが多いアクティブでおしゃれなママさんにお勧めです。
イスモードでの角度はかなり鋭角でB型としてもしっかりと機能します。
アップリカ ラクーナクッション
112°~155°
ラクーナクッションはアップリカの一番人気モデル。軽量・コンパクトなオート4輪搭載モデルの中でもトップクラスの人気を誇る日本を代表するモデル。
前モデル、ラクーナソファークッションと見た目はほぼ一緒ながら若干のサイズ変更とリクライニング角度の改善が施されました。
軽量A型両対面ベビーカーの中ではピジョンランフィRB0に次ぐ優秀な数値です。
関連記事:
アップリカ、ラクーナクッション2018年10月上旬発売「概要と感想」
ピジョン フィーノ
115°~165°
フィーノはピジョンの最上位モデル。
A型両対面モデルでは最も走破性の高いシティクルーザーです!
日本ブランドのベビーカーの中では最高峰のモデルですが2020年4月現在、かなりお求めやすい価格となっており、注目すべき一台です。
快適性を重視する最上位モデルだけにリクライニング角度も幅は大きい数値となっています。
アップリカ オプティアシリーズ
115°~157°(ACモデル)
オプティアはアップリカの最上級モデル。
発売時期の違いによりセカンドネームの異なるモデルが複数ありますがベースはどれも一緒。しかしながら、リクライニング角度はモデルごとに若干の違いがあります。
最もスタンダードなACタイプがオプティアシリーズでは最も高い数値となっております。
グレコ シティスター
117°~150°
軽量・コンパクトなモデルを多数輩出するグレコの最新モデル。
このクラスでは珍しい7段階マルチハンドルが搭載されています。
リクライニング角度は実用域を十分満たしています。
関連記事:
グレコ シティスターのレビューと評価!特徴やメリット・デメリットを解説
リッチェル コアラクーン
120°~160°
リッチェルコアラクーンはA型両対面モデルでは珍しく手元ブレーキが採用された安全性の高いモデル。
アップリカ カルーンエアーAB
121°~157°
超軽量・コンパクトなお手軽ベビーカー。
ベビーカーはシンプルなモデルばベスト!という方におすすめです。
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アップリカ カルーンエアーの評価は?ユーザの口コミ情報をまとめてみた
グレコ シティゴー
122°〜159°
シティゴーはA型モデルでは最軽量に部類します。その重量はわずか3.9kg!
とにかく軽さ重視という方にはおすすめです。
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アップリカ ラクーナエアーAB
124°~158°
ラクーナエアーはオート4輪が搭載されたモデルでは最軽量。わずか4.6kgはB型にも迫る車重です。
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コンビ クロスゴー
125°~170°
クロスゴーはアットと並ぶコンビの最上位モデル。
しっかりとした作りと余裕のあるサイズで押し心地、赤ちゃんの乗り心地ともにバツグン!
ベビーカー全体でみても最上位に部類するおしゃれなシティクルーザーです。
以下に続くコンビ製ベビーカーはどの機種もすべてリクライニング角度は同じ。しっかりとした根拠があるように感じますが詳細は不明です。
コンビ アンブレッタ4キャス
125°~170°
アンブレッタはエレガントなフォルムが特徴のコンビの高級モデル。大型タイヤと大型幌が特徴です。
アップリカ オプティア、ピジョン フィーノ、コンビ アンブレッタの比較
コンビ スゴカル4キャスシリーズ
125°~170°
販売時期の違いによりセカンドネームの異なるさまざまなモデルが存在しますが、リクライニング角度はどれも一緒。
モデルにより価格差がありますのでしっかりと吟味が必要です。
おすすめは最新モデルのHT。
それなりの価格はしますが人気モデルであるスゴカルの完成形ともいえる素晴らしい出来栄えです。
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コンビ スゴカル 4キャス エアー エッグショック HK
125°~170°
オート4輪を搭載しながらわずか4.5kgの車重はクラス最軽量。
コンビ独自の持ちカルグリップが装備されており、軽さだけではなく持ち運びやすさも◎。
コンビ スゴカル4キャスライト
125°~170°
大人気、コンビスゴカルの軽量バージョン。車重4.6kgはアップリカ ラクーナエアーシリーズと並ぶオート4輪搭載モデルでは最軽量に部類する注目のモデルです。
コンビ スゴカルハンディ エッグショック MK
125°~170°
わずか4.2kgの重量はA型ベビーカーでは最軽量クラス。
オート4輪は搭載されていないものの、その分軽量に仕上がっています。
持ち運びの利便性を追求する方にはおすすめです。
コンビ メチャカーゴIG
125°~170°
広大な荷物スペースを持つお買い物に最適なモデル。軽量でシンプルな作りも魅力です。
コンビ メチャライトNH
125°~170°
コンビ製2キャスモデルでは最もスタンダードなモデル。シンプルなA型両対面モデルをお探しの方は最適です。
ジョイー スマバギ4WD
125°~170°
ジョイースマバギはコンビ、アップリカ、ピジョンに続くオート4輪搭載の数少ないブランドモデル。3万円以下で買える貴重なオート4輪モデルです。
ジョイー スマバギ
125°~160°
A型両対面のシンプルなモデル。実用性に長けた気軽に使えるベビーカーです。
ジョイー エアスキップ
130°~170°
ジョイーのシンプルな背面モデル。お求めやすい価格も魅力です。
グレコ シティライトRアップ
135°~160°
グレコ シティライトRアップはコスパに優れたA型ベビーカーのロングセラーモデルです。
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主要B型モデルのリクライニング角度一覧
B型ベビーカーはイス型メインのシンプルなモデル。
B型の座角はかなり傾斜が鋭角な機種が多い印象があるので一応参考のために載せておきます。
コンビ F2シリーズ
120°~135°
F2シリーズはコンビの人気B型モデル。
他機種にはない直線を基調にしたおしゃれな外観が特徴です。
セカンドネームの異なる機種が多いですが、リクライニング角度はどれも一緒。
それ以外にA型相当までリクライニングが可能なF2プラスというモデルもあります。
アップリカ マジカルエアーシリーズ
117°~135°
マジカルエアーはB型ベビーカーでは長年に渡り、常に高い人気を維持しているモデル。
装備や重量などの違いにより、大きく3つのモデルがあります。
最上位モデルのマジカルエアークッション、充実装備のマジカルエアープラス、超軽量スタンダードモデルのマジカルエアーです。
モデルによりリクライニング角度は若干異なります。
ピジョン ビングル
118°~135°
シングルタイヤを採用した高い走行性能を発揮するB型モデル。
本格的なB型ベビーカーとしてはコンビ、アップリカよりも後発となりますが、使いやすさが評価され、B型としてはトップクラスの人気機種となりました。
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さいごに
リクライニングが可能なベビーカーといえども機種によって角度に差があることをご覧いただきました。
どのモデルも一流のメーカーさんが設定したものなのでそれなりの根拠があるものだと思います。
しかしながら設定したリクライニング角度の根拠と有用性についてはどのメーカーもアピールする記述が一切ないことであまり気にも留めなかった事柄ではありますが、消費者目線で考えてみると少しは考慮に入れて機種選定をすべきではないかと思います。
ちょっと斜め目線で見た内容ではありますが少しでも参考になりましたら幸いです。